1991.2.10
「内なる殺人者」 ジム・トンプスン 河出文庫
内なる殺人衝動に駆られて、ある事件をきっかけに殺人に殺人を重ね破滅していく一人の保安官補を描く話。クライム・ノヴェルとかサスペンスとか呼ぶには、余りに重苦しく不快な作品。そう、「ゲッタウェイ」もそうだった(映画はそれなりに爽快感があったけど。ただ、普通のサスペンスにくらべると、やはりかなり澱のようなものが目立ったが) 率直に言って、こういう話は好きになれない。「気軽に小説を楽しもうとする読者」だからね。深刻なことを考えたいなら小説なんて読まねぇよ(少なくともこういう抽象的な心理の問題を考えたければ)。エンタテインメントは、まず楽しめることが第一だろう。そこをおろそかにしちまったら、「純文学」になってしまうぞ。まあ、こういうのを「楽しめる」人もいるのだろうな、とは思うが。