1991.11.2
「グリフターズ」 ジム・トンプスン 扶桑社ミステリー
既読2冊に比べると娯楽小説的な読みやすさがあるような気がする。リリーというのがいかにもハードボイルド的な女だしさ。結末なんかも、いかにも。キャロルの挿話あたりに不条理性が強く出ていて、ああ、トンプスンぽいな、と思わせるし、本質的なものは同じだと思うのだけれど。読みやすいのは確かだが、トンプスンが元々そういう作家ではないことを考えると(つまり、娯楽小説としてなら、もっと上手い作家がいろいろいるわけで)、この作品は、トンプスンとしては、レベルが低い方なのかもしれない。