2003.8.5
「死ぬほどいい女」 ジム・トンプソン 扶桑社
悪夢のような世界の中で、主人公が破滅していく構図は、この作家のいつものパターン。いつもよりプロットがやや直線的な感じで、無用なややこしさがないのが、傑作と言われる理由かも知れない。
本書もそうだけど、この作家は、本文とかけ離れたぐちゃぐちゃに破綻した場面を、最後に唐突に付け足す。池上冬樹が解説でその理由を推測していて、(乱暴に要約してしまうと)読者を罵倒するのが目的だと言っていて、それは結構納得出来る意見。
ただ、それをも含めて、池上はトンプソンを独特な作家として賞賛するのだけど、単なる作家の自己満足に、勝手な意味付けをして感銘を受けてるだけじゃないのか。池上に限らず、トンプソンを賞賛する意見て、ほとんどそんな風に見えるんだけど。